

「コミュニティマーケティング」とは、企業と顧客、または顧客同士がつながるコミュニティを構築し、そのコミュニティを活性化させて商品やサービスの販売機会を増やす戦略です。ブランド・商品に対する価値観や関心の似ている人々が集まって構成されることが多いです。
なお、顧客とコミュニケーションを取りながらブランディング強化したり、販売促進につなげたりする「マーケティングコミュニケーション」の一環としてコミュニティが作られるケースもあります。
マーケティングコミュニケーションについては、以下の記事でくわしく解説しているので、ご覧ください。
コミュニティマーケティングにおいては、顧客・ファンを「売上をつくる存在」から「価値を共創する存在」として捉え、
これらを活用して、顧客同士の交流を促進させます。
次に、混同されがちな「ファンマーケティング」「ファンベースマーケティング」との違いを、それぞれ簡単に説明します。
◆ファンマーケティングとの違い
コミュニティマーケティングにおいては、コミュニティに集まる顧客同士の交流が活発であるのに対し、ファンマーケティングは、企業から顧客に情報を発信し、関係を強めるものです。ただし、ファンマーケティングの一環でコミュニティマーケティングが行われることは、しばしばあります。
ファンマーケティングの詳細は、こちらの記事を参照してください。
◆ファンベースマーケティングとの違い
コミュニティマーケティングは、コミュニティの活性化によって商品の販売機会を増やす戦略であるのに対し、ファンベースマーケティングは、企業とファンの関係を深めて商品やサービスを共創し、事業拡大につなげる戦略です。
ファンマーケティング同様、ファンベースマーケティングの一環でコミュニティマーケティングが実施されることもあるでしょう。
ファンベースマーケティングについては、下の記事を参照してください。

ここでは、コミュニティマーケティングの市場規模、そしてなぜ注目されているのか解説します。
2019年に発刊された株式会社矢野経済研究所のレポートによれば、法人向けファンコミュニティクラウド構築市場について、2022年の国内における市場規模は63億円と予測されています。
参照:矢野経済研究所 Yano ICT「デイリーコラム | 【アナリストオピニオン】コミュニティマーケティングについて考える③」
世界的な規模で見ると2022年3月25日に公開された「Forbes」の記事にも、コミュニティマーケティングはEC事業にとって、今後10年間で成長と投資が見込まれる最も大きな分野の一つになる、との記載があります。
参照:Forbes Media LLC.「The Power Of Community Marketing In E-Commerce」
さらにグローバル・マーケット・インサイツ社も、「ファンエンゲージメントプラットフォーム市場は、2025~2034年の間に16.3%の年平均成長率で拡大するだろう」と、推定しています。
参照:グローバル・マーケット・インサイツ社「ファンエンゲージメントプラットフォーム市場規模予測レポート2034年版」
コミュニティマーケティングが注目されるようになった理由の一つは、バナーやリスティングといった、従来型デジタル広告の効果が低下したことです。
日常的にSNSなどでさまざまな情報が流れる現代、人々はデジタル広告に関心を向けなくなり、広告効果が相対的に減少しているといいます。
参照:マーケトランク「【2025年最新】これからのコミュニティマーケティング戦略|LTVを最大化する手法と国内事例」
広告やキャンペーンは一過性のものであるため、リピートしたくなる仕掛けづくりの方法として、顧客との情報交換を効率的に行い、関係を深められるコミュニティマーケティングが注目されるようになりました。
もう一つの理由は、インターネットの普及によって得られる情報量が大幅に増えたため、人々の価値観や選択軸の多様化が進んだことです。
コミュニティを通して、自社ブランドを選んでくれている顧客に商品の魅力やニーズを聞いてみることが、自社の強みを再発見して新規開拓を成功させる一番のカギとなるのです。
継続利用を前提とするサブスクリプションビジネスが一般化し、より一層顧客ロイヤリティを高めてリピートを促す必要性が増したことも、コミュニティマーケティングが注目されている理由といえます。
これらの理由から、今後もコミュニティマーケティングの市場規模は拡大し続けるでしょう。
以下の記事でコミュニティマーケティングの成功事例を紹介しているので、ぜひ併せてご確認ください。

この章では、コミュニティマーケティングのメリットを3つに分けて説明します。
コミュニティマーケティングを実施することで得られるメリットは、顧客ロイヤリティの強化によるファン化の加速です。
企業と顧客、または顧客同士の関係が深まるほどブランドの離脱率が下がり、LTVの向上につながりやすくなります。LTVとは、顧客が1つの企業に対して生涯にわたってもたらす利益を数値化したものです。
コミュニティへの関わりが深まるにつれ、顧客の行動心理は下のように変化していくと考えられます。
行動心理の変化とともに顧客ロイヤリティが強化され、コアなファンが増えると客単価の上昇も見込めるでしょう。
広告のような一方的な情報発信とは捉えられにくい、リアルな口コミやUGCが生まれやすいことも、コミュニティマーケティングで得られるメリットです。商品の購入を決定する際に、使用した人のレビューを参考にする顧客が多く、新規顧客の獲得につながるためです。
参照:HubSpot「コミュニティマーケティングとは?成果を出すコツや成功事例を解説」
コミュニティマーケティングは「企業が主体的に活動して顧客を増やす施策」ではなく、「会員のシェアやつながりによって認知を広げ、活性化させる施策」であるといえます。新規顧客を増やすには、コミュニティ上で会員同士の交流や拡散が、自然に行われることがカギとなるでしょう。
web広告を出す場合、リスティング広告であれば1ヶ月20~50万円、SNS広告は月30万円前後がかかるといわれます。しかし、UGCによって自社ブランドや商品が自然に拡散されれば、広告費を抑えて販促効果を得られるでしょう。
参照:創業手帳株式会社「広告費用の目安はいくら?11種類の媒体別特徴や料金相場を解説」
会員の定性情報をリアルタイムで取得できるようになることも、コミュニティマーケティングを行うメリットの一つです。
マーケティングを成功させるには、顧客が意識下で求めていることを、いかに見抜くかが重要です。
しかしトレンドの移行が激しい現代は、商品の開発がニーズの変動スピードに追いつかないケースも増えているため、新商品を適切な時期に販売するには、ニーズが顕在化する前に、顧客自身も気づかない顧客インサイトを見抜くことが求められます。
勢いのあるコミュニティには多くの投稿が寄せられるため、鮮度の高い定性情報を拾い上げ、いち早くインサイトをつかむことで、新商品の開発やサービスの改善に活用できるでしょう。

最後に、コミュニティマーケティングを導入し、運用する際のポイントと注意点を説明します。
コミュニティマーケティングを成功させるには、運営方針を明確にする必要があります。会員の声を商品の開発や改善に生かすため、会員の疑問を解決する窓口にするためといった目的や、どのような人を集めたいのかを決めておくことで、運営方針のブレがなくなります。
運営者やモデレーターは、コミュニティの管理側であることを誇示せず、会員に共感し、交流を促す立場を取ることがポイントです。主役である会員同士が交流しやすい場をつくることで、率直で忌憚のない意見や感想が自由に飛び交う、活気のあるコミュニティとなるでしょう。
コミュニティでのトラブルを避け、会員同士が快適に交流するために「コミュニティガイドライン」も作成しましょう。
ガイドラインと同時に、禁止項目を守らなかった会員に対する措置も明示しておくと、さらによいでしょう。速やかに対応できるだけでなく、運営の引継ぎも滞りなく行えます。
コミュニティマーケティングは成果を数値で測りづらいため、中長期的視点に立ち、コミュニティの運営目的とKPIを分けて設定するとよいでしょう。
初期段階では、会員が交流しやすい環境づくりを優先しましょう。アクティブユーザー率やコメント数などのエンゲージメントに関する数値をKPIに設定し、コミュニティの様子を注意深く観察しましょう。
売上よりも「ブランド価値」「LTV」「声の量と質」の向上を重視することが、効果的なコミュニティマーケティングを展開するポイントです。
コミュニティマーケティングを導入しても、なかなか会員数が増えない、場が盛り上がらない、という場合もあるでしょう。出入りの少ないコミュニティは新たな話題が生まれにくいため、よけいに発言者が減る傾向があります。
最初は顧客ロイヤリティの高い、ブランドや商品に対する思いの強い会員を招集し、量より質・深さを重視したコミュニティ運営を行いましょう。
企業主導ではなく「一緒につくる」姿勢が、コミュニティマーケティングを成功させるカギです。既存会員も新規会員も分け隔てなく居心地のよい場となるように、コミュニティに関する意見も随時取り入れましょう。
そして都度「ご意見を取り入れてこういった機能を追加しました」などとフィードバックすると、より一層、ともにその場を盛り上げているという意識が高まります。

コミュニティマーケティングは、商品を売ることだけが目的ではなく、「選ばれ続けるブランド」を育てるための基盤となる施策です。コミュニティを立ち上げたら終わりではなく、継続的に交流を続けて、居心地の良い雰囲気を作り、会員の顧客ロイヤリティを高めましょう。
コミュニティの会員は、アクティブユーザーばかりとは限りません。むしろ、非アクティブユーザーのほうが多いでしょう。一人でも多くのファン化を目指すために、投稿の少ない会員もいつでも交流しやすい、快適なコミュニティ作りを目指しましょう。
コミュニティマーケティングにおいて、顧客は単なる「購入者」ではなく、ともに歩む「ファン」であり「仲間」です。成果を急がず、顧客との関係性を深めていく覚悟を持つ企業だけが、長期的な支持を得られるようになるでしょう。
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