

インタラクティブマーケティングとは、企業とユーザーが双方向でやりとりするのを前提としたマーケティング手法です。従来のように、企業が広告などを通じて情報を一方的に届けるのではなく、ユーザーの反応や行動に応じてコミュニケーションを行う点が特徴です。
具体的にはSNS上での交流、ライブ配信中の質問対応、診断コンテンツやアンケートなど、ユーザーが参加することで体験が変化する施策が挙げられます。こうしたやりとりを通じて、企業はユーザーの関心やニーズを把握し、より適した情報提供が可能になるでしょう。
インタラクティブマーケティングの重要性が高まった背景には、デジタル環境の変化があります。デジタル化が進んだ昨今は、商品やサービスを購入する前に自ら情報収集することが当たり前となり、企業からの一方通行の情報だけでは関心を引きにくいです。
また、SNS、広告配信ツール、データ分析技術の進化により、ユーザーの行動データを細かく分析できるようになった結果、属性や興味関心に応じて、より個々のユーザーに適したコミュニケーションが実現しやすくなりました。
ユーザーとの対話を通じて関係性を深め、体験価値を高めていく点が、インタラクティブマーケティングの大きな特徴といえるでしょう。

広告が表示されるだけでは関心を持たれにくいと同時に、ユーザーは情報を受け取る存在から、比較・選択し、時には発信にも関わる主体へと変化しました。そのため、企業には接触機会だけでなく関与の深さを意識したコミュニケーションが求められます。
インタラクティブマーケティングは、ユーザーの反応を起点に関係性を築ける点が特徴です。「見せる広告」から「関わる体験」へと価値が移るなかで、重要性が高まっています。

インタラクティブマーケティングは、日常の体験やコミュニケーションのなかに組み込まれています。ここでは、ユーザーが参加することで体験価値が高まり、関係性が深められている事例を紹介します。
東京ディズニーリゾートは、体験設計そのものにインタラクティブな思想を組み込んでいる点が特徴です。「主人公は常にゲストである」という考え方を前提に、キャストとゲストのコミュニケーションが設計されています。
パーク内においては、キャストが一方的にサービスを提供するのではなく、ゲストの反応や状況に応じて声掛けや対応を変えます。こうした双方向のやりとりによって、ゲスト自身が物語の一部として体験に参加している感覚が生まれるでしょう。
たとえば、東京ディズニーシーのアトラクション「タートル・トーク」は、ゲストの受け答えによって会話の内容が変化する仕組みです。反応次第で体験が変わる設計により、単なる鑑賞型ではなく参加意識が生まれ、結果として再訪意欲の向上にもつながっていると考えられるでしょう。
参照:BPNavigator toGO「リモート営業やDMで効果的なディズニー流の考え方」
ディズニーリゾートのマーケティング手法やディズニープラスをふくめたウォルト・ディズニー全体の日本を起点にした戦略については、それぞれ以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。


明治がXで実施した「うずまきソフト」のキャンペーンは、UGCとSNS投票を組み合わせた事例として挙げられます。
2021年11月に「うずまきがうますぎに見える」というユーザーの投稿を発見したことをきっかけに、翌年2022年2月にX上で「うずまきソフト」と「うますぎソフト」と書かれた2種類のパッケージ画像を並べ、正解だと思う方をいいねやリポストで選んでもらうまちがい探しを実施。
その結果、1,400件を超えるいいねや200件以上のリポストが集まり、通常投稿と比べて高いエンゲージメントを獲得しました。
さらに2023年7月下旬には期間限定で「うますぎソフト」という表記を採用したパッケージを発売。店頭で商品を見つけたユーザーによる投稿が増え、7月から10月の口コミ数は前年同期間の倍以上となりました。
ユーザーの声を拾いあげ、施策や商品に反映した点は、インタラクティブマーケティングの好例といえるでしょう。
NIKE(ナイキ)が提供するランニングアプリ「Nike Run Club」は、デジタルとリアルを横断した体験設計が行われています。同アプリは無料で利用でき、ナイキ製品を持っていなくてもランニングの記録やトレーニングサポ-トを受けられる点が特徴です。
ランニングを継続することで運動が習慣化し、やがてリアルのランニングイベントやナイキ主催の企画に関心を持ち、製品を身につけたり、トレーナーや他ユーザーの着こなしに影響を受けたりと、デジタル体験がリアルな行動へと連動する導線が設計されています。
このようにナイキのアプリは、直接の販売を目的とするのではなく、ユーザーの行動を継続させる体験づくりに注目しています。
参照:キャリアハック「なぜ、ナイキは「売上に直結しないアプリ」を強化するのか。アフターデジタル時代のUXグロースモデル戦略」

インタラクティブマーケティングの最大の特長は、ユーザーの記憶に残りやすく、関係が継続しやすい点にあります。ユーザーの選択や参加が体験の一部となり、ブランドに触れる時間や関与の深さが自然と高まることで、理解や愛着が育まれると期待できるためです。
ここでは、インタラクティブマーケティングによって得られる主なメリットを見ていきましょう。
参加型の施策においては、ユーザー自身が選択やアクションを行うため、コンテンツが単なる情報ではなく「体験」として記憶に残りやすくなります。ユーザーがトライしやすいクイズや投票、診断コンテンツなどは、能動的な関与を促すことで印象を強め、ブランド想起にもつながるでしょう。
双方向のやりとりを通じて、ユーザーは「自分の声が反映されている」と感じやすくなります。こうした体験の積み重ねは企業への信頼感を高め、ブランドへの愛着や理解を深めることが期待できるため、結果として、ファン化や顧客のロイヤリティ化につながるでしょう。
ファンマーケティングの考え方とも通じるので、くわしくは以下の記事をご覧ください。
インタラクティブマーケティングは、短期的な成果にとどまらず、中長期的な関係構築にも有効です。ユーザーの行動データや反応をもとに体験を改善し続けることで、接触の質が高まり、継続的なエンゲージメントを生み出しやすくなるでしょう。
この考え方はリテンションマーケティングとも通じるので、くわしくは以下の記事をご覧ください。

マーケティングにおける双方向性は、顧客対応だけでなく、社内外のあらゆる関係に広がっています。インタラクティブマーケティングも、インターナルマーケティング、エクスターナルマーケティングと切り離して考えるものではありません。
インターナルマーケティングは、企業が従業員に向けて行うマーケティング活動を指します。社内における理解や納得感を高めることで、従業員満足度やエンゲージメントの向上につながり、組織として一貫した行動を取りやすくなります。
一方、エクスターナルマーケティングは、消費者や顧客といった社外に向けて行う、一般的なマーケティング活動を指します。インターナルマーケティングと対比し、社外に向けた施策であることを示すために「エクスターナル」という言葉が使われます。
特に新規事業の立ち上げにおいては、インターナルマーケティングによって社内の認識やブランドイメージを揃えておくことが欠かせません。
社内理解が整ってはじめて、エクスターナルマーケティングのメッセージに一貫性が生まれ、顧客との接点においても同じ印象を与えやすくなります。
その基盤のうえで、顧客との関係性を深めていく役割を担うのがインタラクティブマーケティングです。顧客の反応を受け止め、対話を重ねながら関係を築くことで、ブランドへの信頼や記憶に残る体験へとつながっていきます。
一方通行ではなく、相手の声に向き合う姿勢こそがインタラクティブマーケティングの本質といえるでしょう。

インタラクティブマーケティングを実践するうえで重要なのは、「双方向=ユーザーに何かをさせること」ではない、という前提を共有することです。
アンケートへの回答や投稿、リアクションを求める施策であっても、参加が負担になってしまえば、かえってブランドから離れてしまう可能性があります。
まず意識したいのは、参加を強制しない設計です。行動を促す導線が用意されていても、「参加しなくても不利益はない」「見るだけでも楽しめる」と感じられる余白があることで、ユーザーは安心してブランドに触れられます。この「選べる状態」が、双方向施策における心地よさを生みます。
そのため施策を考える際は常にユーザー目線に立ち、「この行動は楽しいか」「日常の流れのなかで無理がないか」などを確認することも欠かせません。
企業側の都合で反応を求めるのではなく、自然な体験の流れのなかに参加が組み込まれる設計こそが、インタラクティブマーケティングの成果を高めるでしょう。
こうした考え方は、ファンベースマーケティング、コミュニティマーケティングとも共通しています。いずれも、共感や愛着を起点に、自発的な関与を育てていく点が特徴です。
インタラクティブマーケティングをより深く理解し、実践に活かすためにも、ファン(顧客)との関係構築、およびコミュニティを軸とした考え方について解説した以下の各記事も、あわせて参考にするとよいでしょう。

インタラクティブマーケティングは、特定の施策や手法を指すものではなく、ユーザーとどのように向き合うかという姿勢そのものです。
一方的に情報を届けるのではなく、ユーザーの反応や行動を受け止めながら関係を築いていく双方向性コミュニケーションは、今後のマーケティングにおける前提になるといえるでしょう。
また、大規模な仕組みがなくてもユーザー視点を意識した小さな工夫から実践できる点も、インタラクティブマーケティングの特徴です。
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