

動画マーケティングとは、動画を活用しブランドの認知拡大や理解促進、購買行動の後押しなどを行うマーケティング手法です。
商品・サービスの特徴や利用シーン、ブランドの世界観などを視覚と聴覚の両面から伝えられるため、テキストや画像のみの場合と比べて情報量が多く、短時間でも内容を理解してもらいやすいでしょう。
年々市場規模が拡大しており、サイバーエージェントとデジタルインファクトによる調査(2024年9月〜12月)によると、2024年の国内動画広告市場は7,249億円(前年比115.9%)に到達。
今後も成長が続き、2028年に1兆1,471億円規模へ拡大すると予測されています。特にスマートフォン向け動画広告需要は2024年時点で5,750億円と全体の約79%を占めており、2028年も約76%と同等の水準で市場拡大を牽引していく見込みです。
また、インターネットに接続されたテレビ端末であるコネクテッドテレビ(CTV)の普及も進んでいます。テレビ端末のネット接続率は2015年の24.5%から2025年には65.6%まで上昇しており、動画ストリーミングサービスをテレビで視聴する人が増えています。こうした視聴環境の変化に伴い、CTV向け動画広告の重要性も高まりつつあります。
参照:ビデオリサーチ「コネクテッドTV(CTV)とは?」今さら聞けない!基本の『キ』」
なかでも、縦型動画広告の伸びは顕著で、2024年時点で前年比171.1%(900億円)と大きく伸長し、2028年には2,088億円まで拡大する見込みとされています。
参照:サイバーエージェント「サイバーエージェント、2024年国内動画広告の市場調査を実施」
企業が動画を活用する理由として、SNSや動画プラットフォームが日常的な情報接触の場になっていることが挙げられます。
スマートフォンによる視聴が広まり、移動中の“ながら視聴”などで気軽に動画コンテンツに触れられる環境が広がりました。そのため、認知獲得やブランディング、購買・CV促進まで幅広い目的で活用されています。

SNS動画マーケティングとは、InstagramやTikTok、X(旧Twitter)、FacebookなどのSNS上で動画を配信し、ユーザーとの接点をつくる取り組みです。各プラットフォームのタイムラインやおすすめ枠に自社動画コンテンツを掲載することで、フォロワーに限らず幅広い層に情報を届けられる点が特長です。
SNS動画マーケティングは動画マーケティングの一種でありますが、公式サイトやYouTubeなどで配信する動画と比べて、SNSごとのユーザー層や視聴行動に合わせた戦略が取られることも多いため区分します。
SNS上で見られやすい動画は短尺であることが多く、また、視聴維持率などユーザーの反応をもとに表示が最適化されるため、限られた時間で印象を残す設計が求められます。共感や意外性のある内容はシェアやコメントを通じて拡散されやすく、話題づくりにつながるでしょう。
そのため、SNS動画はブランドの認知拡大や世界観の共有に適しています。成果をあげるには、冒頭数秒で関心を引く構成やテンポのよい展開がポイントです。単発で終わらせるのではなく、継続的に投稿しながら反応を検証していきましょう。
あわせて動画広告の効果の最大化が期待できるSNS広告(Instagram、TikTok、X)の配信方法について、それぞれ以下の記事をご覧ください。




YouTube動画マーケティングとは、自社YouTubeチャンネルにおける継続的な動画配信や、YouTube内における動画広告を通じ、ブランドの認知拡大から比較検討、購買を促進する取り組みです。
動画マーケティングの一手法であり、YouTubeが誰でも気軽に視聴できるプラットフォームとして広く普及していることから、多くの企業が活用しています。
自社チャンネルを開設し、商品解説やノウハウ動画を蓄積していく方法に加え、ターゲットを絞った広告配信やインフルエンサーとの連携など、目的に応じた施策を組み合わせることができます。
SNS動画との大きな違いは、中~長尺の動画を前提とした設計が可能な点です。SNS動画広告よりも比較的長い尺で構成できるため、商品・サービスの特徴や活用事例、開発背景などを丁寧に伝えやすいメリットがあります。
また、YouTubeには公式の分析機能であるYouTubeアナリティクスが標準で用意されており、YouTube Studioから追加費用なくチャンネルや動画のパフォーマンスを確認できます。数値をもとに構成やサムネイル、配信設定を見直し、改善を重ねられるでしょう。
参照:YouTube「YouTube アナリティクスの利用を開始する」
公開した動画は削除しない限り蓄積され、継続的に再生されるストック型コンテンツとして機能するため、過去に投稿した解説動画が長期間にわたり視聴され続けるケースもあります。
商品理解の促進や専門的なノウハウ提供動画を制作することで、検討段階にあるユーザーに対し、比較ポイントや導入メリットを具体的に提示できる点が強みです。
商品解説動画、導入事例インタビュー、ドキュメンタリー形式のブランド発信、採用活動のためのコンテンツなど、活用の幅は広いといえるでしょう。中長期的な視点で運用することで、安定的な集客基盤の構築につながります。

動画マーケティングで成果を出すには、「作る前に決めておくべきこと」を整理しておくことが重要です。目的や評価指標が曖昧なまま動画を作ると、伝えたい内容の焦点が定まらず、公開後の効果検証や改善も難しくなります。
事前に整理しておきたい主なポイントは、次の4点です。
これらを明確にすることで、動画の構成や尺、訴求メッセージ、CTAの設計に一貫性を持たせることができます。
さらに、媒体ごとの特性をふまえた役割分担も重要です。たとえば、SNSで短尺動画を配信して認知を広げ、関心を持ったユーザーをWebサイトやLPへ誘導し、ページ内に埋め込んだYouTube動画で詳しく解説する、といった導線設計など、複数の媒体を組み合わせる有効性も考えられます。
こうした段階的な接点づくりを意識することで、動画を一時的な話題で終わらせるのではなく、成果につながるマーケティング施策として機能させることができるでしょう。

成果につながった代表的な事例から、戦略設計のポイントを解説します。
アース製薬は、コロナ禍で店頭イベントや対面販促が難しくなるなか、SNSを軸とした施策へ力を入れるようになりました。トイレ・洗面台用洗剤「バブルーン」の使用シーンを分かりやすく伝える動画をInstagramやYouTube上などに公開し、その視覚的なインパクトのある内容が話題を呼びました。
もとは企業側が戦略的に企画・発信したコンテンツでしたが、それが一般ユーザーの目に留まり、TikTok上でシェアが拡大。「#バブルーン」のハッシュタグは1億回以上再生を記録しました。
狙いに沿って作られた動画がユーザーの自発的な拡散へと発展し、商品は店舗在庫が一時不足するほどの反響を獲得しました。
2019年、直販ルートを持たないクラシエホームプロダクツは、ボディソープ「The Naive(ザ・ナイーブ)」の販促に際し、非計画購買が70%〜80%といわれる店頭での後押しを目的に動画施策を実施しました。
特定の店舗や対象エリアにいる人に対して、リアルタイムでプッシュ通知を行いアプローチできるサービス「TownWiFi Ads」およびアプリ内で動画広告を完全視聴した方に対し、その人が対象の店舗やその付近に訪れた際にプッシュ通知を配信できる「TownWiFi Video Ads」を活用。
テレビCM素材を同サービス上でも配信し、事前に認知・理解を促進したうえで、対象店舗付近に訪れたユーザーへプッシュ通知を配信しました。
動画視聴の有無で比較したところ、プッシュ通知のみを受け取った群のCTRが約3%だったのに対し、動画視聴後に通知を受け取った群においては約13%と+10%も向上しました。
参照:MarkeZine「動画広告×プッシュ通知でCTRが約10%増 クラシエが語る「TownWiFi Ads」の店頭販促活用」
2022年にシービーティーが公開した本動画は、クラウド型の収支管理システム「プロカン」の導入メリットが伝わりにくく、営業説明にもばらつきがあるという課題を背景に制作されました。
展示会や営業先で活用できるよう、経営の見える化や直感的なUI、承認ワークフローの簡易化による業務効率化などの特長を約3分にまとめ、課題提示から解決策提案へと導く構成です。
3つの成功事例に共通するのは、認知拡大や購買促進、営業効率化など目的を明確に定め、その達成に向けて動画の役割を設定している点です。動画を起点にSNSにおいての拡散や店頭販促、営業活動などにつなげる設計が、成果につながったといえるでしょう。

動画マーケティングは、戦略そのものよりも進行方法で失敗するケースが少なくありません。
よくある失敗例
最初から大規模に展開するのではなく、小さく始めて検証と改善を重ねる姿勢が大切です。また、戦略設計や運用は内製、専門的な制作は外注するなど、自社の体制に応じて役割整理することが、継続的な成果につながります。

動画マーケティングにおいて重要なのは、単に動画を制作するのではなく、目的に沿って戦略的に活用することです。
認知拡大や購買促進などゴールを明確にしたうえで、どう接点を作り、組み込むかを設計する必要があります。SNSやYouTubeそれぞれの特性を理解し、自社の商材や体制に合ったかたちで活用することが、成果への近道といえるでしょう。
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