

お酒市場の変化を受けて、広告の打ち出し方にも工夫が求められています。
日本のアルコール市場は長期的に見ると横ばいから微増してきました。近年はコロナ禍で中断されていた宴会やイベントの再開により、市場は3年連続で拡大しています。
一方で、その成長は価格改定による単価上昇に支えられている側面が見受けられます。実際、数量ベースにおいては伸び悩む傾向も見られ、消費行動に変化が生じています。ビールの価格上昇による購買意欲の低下などを背景に、2025年は市場縮小に転じる見込みです。
さらに、2026年10月に予定されているビール類酒税一本化により、発泡酒や新ジャンルの需要減少も予測されています。消費量や購買機会が限られるなかで、自社商品が選ばれるための打ち出し方の工夫がより求められるようになりました。
お酒は味や香りの違いが広告上で伝わりにくいため、ブランドイメージが購買行動に与える影響が大きいといわれ、広告においては特に世界観の構築や共感を呼び起こすシチュエーションの描き方が重要です。
実際に自社調査においても、広告をきっかけに商品を飲みたいと感じた人は87.2%にのぼり、広告が購買意欲の喚起に寄与していることがわかっています。
お酒の広告に関する調査結果は、以下の記事にて分析・解説しているので、あわせてご覧ください。

お酒の広告において、なぜ女優の起用が目立つのでしょうか。その背景には、商品特性や広告規制、ターゲット戦略といった要因があります。
お酒は、その場の雰囲気などの体験価値が重視される商品です。そのため広告に出演しているタレントが美味しそうに飲む姿や楽しそうなシーンを演出することで、飲用時のイメージを具体的に想起させる必要があります。
こうした表現は自然に見える演技力が求められるため、俳優が起用されやすい傾向があります。
お酒の広告には、未成年への配慮や過度な飲酒表現の制限などのルールがあります。たとえばテレビCMには25歳以上の出演が定められており、飲酒マナーや健康意識への配慮も欠かせません。
こうした背景から、視聴者に安心感を与えるキャスティングが重要です。誠実さや清潔感に加え、出演作などによって信頼できるイメージが定着している俳優が選ばれやすい傾向にあります。
ジャンルによって、広告に起用される人物像にも違いが見られます。ビールは爽快感を打ち出すため清潔感のある俳優やスポーツ選手、チューハイは若年層向けに人気俳優やアイドル、ワインは品のある俳優や文化人が起用される傾向があります。
一方で近年は、女性ユーザーへのアプローチも重視されています。お酒を飲む人のうち、週1日以上飲む人は男性で8割、女性で6割と差があり、女性は新規開拓の余地があるといえるのです。
また、20~30代の働く女性の53.9%と半数以上が週1回以上宅飲みをしており、リラックスや気分転換としてお酒を楽しむ傾向も見られます。
参照:マーケティング・広報ラボ「【20代・30代】働く女性の宅飲み事情を調査!宅飲みをする頻度やシチュエーション別のお酒のチョイスまで徹底解説」
こうした背景から、女性にとって自分ごと化しやすい存在として女優が起用されるケースが見られます。もっとも近年は性別で区切ること自体が適切でないため、身近に感じられる若手男性俳優・タレントが起用されるケースも増えています。

お酒の広告は、季節ごとのイベントや消費シーンと結びつけた訴求が効果的です。
この時期は、恋人やパートナー、家族、同僚や友人とのパーティー需要に加え、一人で楽しむ“ご褒美需要”も高まります。クリスマスはチキンとケーキ、年末年始は和食と合うお酒を提案するなど、シーンに結びつけ「今買う理由」を明確にした訴求が効果的です。
乾杯シーンの楽しさの演出や、限定パッケージ・ノベルティ配布など特別感のある表現も目を引くでしょう。
新社会人として新たな一歩を踏み出す人が増え、出会いと別れが重なるこの時期は、人とのつながりを感じさせる表現が効果的です。仲間との乾杯や新生活の始まりを描くことで共感を生みやすくなるでしょう。
花見など屋外撮影して桜と組み合わせた季節感のある演出も有効です。実際、春限定パッケージを販売する企業も多く、視覚的に季節を感じさせる工夫が活用されています。
夏場はビールの需要が高まりやすく、ウェザーニュースの調査でも、気温が上がるほど飲みたい人が増え、猛暑日には約8割に達することがわかっています。
参照:ウェザーニュース「ウェザーニューズ、全国21万人と『ビール調査』を実施 1番のビール日和は夏の晴れて暑い日、気温35度の猛暑日で8割が飲みたい」
夏休みやお盆休みといった長期休暇に飲用機会が増え、消費が伸びやすい時期です。広告には、のどごしや冷たさといった爽快感の訴求に加え、日常の一杯から海辺や旅行先など非日常のシーンまで幅広く描くことが有効でしょう。
スポーツ観戦の機会が多く、仲間と楽しむシーンを訴求しやすい時期です。スタジアムや自宅での観戦と組み合わせた乾杯シーンは、共感を得やすいでしょう。
一方で、シーズンイベントが少ない時期でもあるため、日常の飲用シーンを描くことで想起のしやすさを高めることも効果的です。自社オリジナルのキャンペーン展開や新たな表現にも挑戦しやすい時期といえるでしょう。

媒体ごとに役割が異なるため、特性に応じた表現設計が重要です。
大規模な認知獲得に強く、タレントの影響力を活かした訴求が可能です。シチュエーションが直感的に伝わる演出や、ストーリー性のある構成によりブランド理解を深めましょう。
【事例】
ザ・プレミアム・モルツ『プレモル子ちゃん・同級生の話』篇
テレビアニメ『ちびまる子ちゃん』の20年後という設定で、大人の余裕とプレミアム感をストーリーで表現しています。
若年層に届きやすく、シェアを前提とした企画設計が重要です。短尺動画や飲み方のアレンジ紹介、インフルエンサーとのコラボによって、真似したくなるコンテンツが拡散を生みます。
【事例】
サントリー 「みんなの思い出メシ」シリーズ
サントリーは公式Instagramにて、数々のインフルエンサーの「思い出メシ」を投稿。それぞれが自身の思い出にまつわる料理を披露し、それをつまみにサントリーのお酒を飲む様子を短尺動画で公開している人気シリーズです。
「今日はつまみになにを作ろうかな」というときの選択肢にもなり、また一人ひとり異なる思い出が語られるので、「自分だったらなにが思い出メシになるかな」と自然と企画に参加する気持ちを引き起こすきっかけにもなります。
お酒に関する情報を発信するためフォローは20歳以上に限られているにもかかわらず、現在(2026年4月時点)フォロワーは26.1万人。多くの方が参考にしたり、ストーリーに思いを馳せたりしていることがうかがえます。
繰り返し接触できる一方、掲出面積に制約があるため、伝える内容は絞る必要があります。タレントのビジュアルを前面に打ち出し、瞬時に商品イメージが伝わる表現が有効です。一方で、何度も目に触れる媒体であるため、不快感につながらない表現設計も求められます。
屋外広告(OOH広告)や交通広告については、以下の記事も参考にしてください。
【事例】
キリンビール 一番搾り 駅貼り広告
キリン一番搾りの広告が新宿駅メトロプロムナードに掲出されています🍺
— 総合報道【公式】サイン・ディスプレイ業界専門メディア (@sogohodopopeye) March 5, 2025
美味しそうにビールを飲む #中村倫也 さんの広告に #堤真一 さんが隣の広告から突き抜けて登場する、2媒体を利用した大胆なクリエイティブです👀 pic.twitter.com/ob8r6X47IL
堤真一さんと中村倫也さんを起用し、2媒体を横断した大胆な表現で、瞬時に記憶に残る設計です。

ターゲットにもよりますが、基本的にお酒の広告に起用されるタレントは、共通して信頼できるクリーンなイメージを重視されます。
明るさや親しみやすさでブランド全体の好感度を高め、自然な飲用シーンを演出できるのが強みです。ビールや発泡酒など日常的に取り入れやすい商品と相性が良いでしょう。
落ち着いた雰囲気を通じて、品質やこだわりを訴求可能です。ウイスキーや日本酒などのプレミアム感のある商品に適しているでしょう。ただしこういった商品は、あえて若手を起用して若年層の購買ハードルを下げる手法も有効です。
若年層に向けて、日常に近い存在として興味関心を引きやすいのが特徴です。大人の魅力を持つタレントと共演することで、幅広い層へのアプローチにつなげるケースもみられます。初めて飲酒する方も取り入れやすいチューハイなどの商材と相性が良いでしょう。
実際にお酒を楽しむ姿が想起しやすく、リアリティや共感性を高められるのが特徴です。「一緒に飲んだら楽しそう」といった印象を与えやすく、ブランドへの親近感を醸成します。

サントリーのスッキリとした味わいが特徴のチューハイ「こだわり酒場のタコハイ」は、タレントの影響力が売上に直結した好例です。
女優の田中みな実さんが「タコハイって何味なの?って思うよね」と語りかける印象的なCMで、商品の味への興味を喚起。あえて説明しすぎないことで、気になる状態を持続させ、購買のきっかけを作っています。
SNS上においても話題となり、発売当初250万ケースを想定していた販売の計画に対し、同年末には600万ケース超えと2倍以上の販売見込みに拡大しました。この現象は「みな実売れ」と呼ばれ、広告が購買行動を後押しした事例といえるでしょう。
参照:週刊女性PRIME「田中みな実がCM出演の『こだわり酒場のタコハイ』が「想定の2倍以上」爆売れ止まらない背景に「みな実売れ」の経済効果、サントリー担当者が明かす“うれしい悲鳴”」
キリンビール「一番搾り」は、1990年の誕生以来のロングセラーとして親しまれているビールで、日常に寄り添う演出で共感を喚起しています。
CMでは中村倫也さんと賀来賢人さんが共演し、出張帰りの何気ない時間のなかでビールを楽しむ姿を描写。自然な会話とリラックスした飲用シーンにより、日常に置き換えて想起しやすく、親しみやすさを与えています。
飲み飽きない味わいが特徴の「黒ラベル」は、長期的なブランド戦略で売上拡大につなげました。CMでは俳優の妻夫木聡さんが出演する「大人エレベーター」シリーズを展開し、多様な分野の“大人”と対話しながら価値観を深堀りする構成が特徴。
2010年から続く長寿シリーズで、2026年には第49弾に到達するなど継続的に配信されています。「大人とは何か」というテーマを軸に据えた独自の世界観が幅広い層の共感を集め、ビール離れが進むなかでも支持を拡大しています。
また、2025年には缶商品の販売数量が前年を上回り、1~11月累計で前年比106%と好調に推移。CMを通じ一貫したブランドメッセージを発信し、独自の世界観を印象づけたことが支持拡大につながっているといえるでしょう。
参照:サッポロビール「「サッポロ生ビール黒ラベル<缶>」が年間販売数量の前年超えを達成!」
なお、このテレビCM「大人エレベーター」シリーズは、20歳以上の生活者1,400人以上が選んだ「最も印象のよいお酒のCM」において4位を獲得しています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

お酒市場はブランド間の競争が激しく、味だけでは差別化が難しいため、広告戦略が重要です。なかでもタレント起用はブランドイメージを強化する有効な手段であり、ブランドと親和性の高い人材選定が成果を左右します。
「誰に届けたいか」によって起用すべきタレントは変わるため、ターゲット設計こそがお酒の広告の成功の分かれ道といえるでしょう。
この記事は参考になりましたか?
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェアする

サービス資料ダウンロード

有名タレントの宣伝素材を事業成長の起爆剤に。
事務所提携数100以上、交渉タレント数3,000名以上
※2024年11月時点の自社調べで登録タレント数・事務所数・取り扱い素材数ともに業界No.1

サービス資料
ダウンロード

タレント広告の
成果を最大化する。
事務所提携数120以上、交渉タレント数5,000名以上
※2024年11月時点の自社調べで登録タレント数・事務所数・取り扱い素材数ともに業界No.1

マーケティング戦略
インタラクティブマーケティングとは?インターナルマーケティングとの関係・事例を紹介
2026.02.27

マーケティング戦略
ターゲティング広告とは?簡単にメリット・デメリット・仕組みを解説!
2026.03.26

マーケティング戦略
ブランドエクイティとは?意味や効果・構築方法をわかりやすく簡単に解説
2026.03.26

マーケティング戦略
インタラクティブマーケティングとは?インターナルマーケティングとの関係・事例を紹介
2026.02.27

マーケティング戦略
ターゲティング広告とは?簡単にメリット・デメリット・仕組みを解説!
2026.03.26

マーケティング戦略
ブランドエクイティとは?意味や効果・構築方法をわかりやすく簡単に解説
2026.03.26

マーケティング戦略
インタラクティブマーケティングとは?インターナルマーケティングとの関係・事例を紹介
2026.02.27

マーケティング戦略
ターゲティング広告とは?簡単にメリット・デメリット・仕組みを解説!
2026.03.26

マーケティング戦略
ブランドエクイティとは?意味や効果・構築方法をわかりやすく簡単に解説
2026.03.26


タレントがいる広告は何が違うのか

タレント活用で実現する広告改善術

1ヶ月~利用可能、新発想のタレント起用

タレントがいる広告は何が違うのか

タレント活用で実現する広告改善術

1ヶ月~利用可能、新発想のタレント起用

タレントがいる広告は何が違うのか

タレント活用で実現する広告改善術

1ヶ月~利用可能、新発想のタレント起用

タレントがいる広告は何が違うのか

タレント活用で実現する広告改善術

1ヶ月~利用可能、新発想のタレント起用
